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仙台家庭裁判所 昭和44年(家)161号 審判 1969年3月20日

申立人 垣沢とみ(仮名)

相手方 崎山正(仮名)

相手方特別代理人 崎山寿一(仮名)

未成年者 崎山澄子(仮名) 昭三八・一〇・一五生

主文

未成年者崎山澄子の親権者を申立人に変更する。

理由

本件申立の要旨は、申立人と相手方とは昭和三八年一月七日届出により婚姻し、その間に昭和三八年一〇月一五日未成年者澄子をもうけたが、相手方は精神に異常を呈し昭和三八年九月○○○病院に入院したりしたので、昭和四一年四月二八日届出により澄子の親権者を相手方と定めて同人を協議離婚した。ところで申立人は離婚後もずつと澄子を手もとにおいて養育しており、今後も責任をもつて監護教育していく考えである。他方相手方は退院後も満足に働けない状態でもあるから澄子の親権者を申立人に変更することが子供の幸福になるものと思われるので、澄子の親権者を申立人に変更してもらうため本申立をした、というのである。

案ずるに本件記録中の戸籍謄本、申立人および相手方特別代理人崎山寿一各審問の結果および調査官羽場光弘の調査報告書によると、上記申立の事情のとおりであること、なお相手方は精神分裂病のため昭和三八年九月一八日から昭和四一年七月二六日迄○○○病院に入院して治療を受け、全快して退院したわけではないので現在も同病院に通院している。相手方の現在の精神状態は無気力で自閉的であり、知能が低く思慮が幼稚であつて正常な判断をくだし得ないことが認められる。以上のような次第であつてみれば澄子の親権者を申立人に変更するのが相当であるから主文のように審判する。

(家事審判官 伊藤正彦)

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